東京ビッグサイトでの展示会が終わり、ようやく南三陸に戻ってきました。ほぼ一週間の出張、普段から慣れていないと堪えますね。とにもかくにも一年で一度、今回もたくさんの素敵な出会いを頂きました。
思えばこの展示会に出展して今年で10年近くになります。毎年のように肌で感じるのは「国内の食品流通の動向」。しかもここ数年は世の中の動きがものすごいスピードで変化しているのを感じます。2〜3年前と今とでは、市場のニーズが明らかに違いますね。出展商品のレベルもどんどん上がっています。そんな中、今年らしい興味深い「変化」を感じました。
時代は「価格」から「品質」へ
当たり前のことですが、世の中には製造者(生産者)がいて、作った商品の最終到達者は「消費者」のお客様。その間には、卸業者や商社がいて、スーパーマーケットや百貨店といった販売者がいます。流れとしては『製造者→卸業者→販売店→消費者』になるでしょうか(おおまかにいうと)。
当店のような水産加工品を製造している「製造メーカー」は、こういった展示会で「自社のこだわり」をいわゆる「バイヤー」の方々にお話します。こういう風にして作っています、とか。ここにこだわっています、とか。でも様々な流通経路をたどることで、最終的な「消費者」の方々にその思いを届けることはなかなか困難です。
だから食品製造メーカーは美味しさにプラスして「世の中のためになる商品」であったり「一目で手に取りたくなる商品」であったり「お困りごとを助けてくれる商品」の開発が求められます。こと水産加工品に関しては「思いが伝わる」ことよりも「ほどほどに美味しく、賞味期限が長く、とにかく安い」商品がたくさん売れるのかなぁと思っていました。でも今回感じたコトは、例年と比べちょっとだけ違うものでした。
それは、ほどんとのバイヤーさんが「こだわり」をちゃんと聞いてくれるようになった、というコトです。数年前までは「コレいくら?」が合言葉のようでしたが(笑) 価格のお話はなぜかあまり出ない。それよりも「どう作っているのか、何を使っているのか」をじっくり聞いてくれる。そういう意味では、日本の食品業界が価格より品質を求める方向にどんどん向かっているのかもしれません。
インターネットは「何処で買うか」ではなく「誰から買うか」の時代へ
もうひとつ同時に思ったコトは、大手通信販売の方々があまり積極的にアプローチしてこなくなったこと(当社だけかもしれませんが)です。製造者がネット環境を自ら整え、インターネット販売に本気で取り組んでいる今、「◯◯百貨店のギフトとして取り扱ってもらうことがステータス」の時代は終わりを迎えているかもしれません。もはや自店のこだわりを知ってもらえるのは、自店が発信する情報だけ。
こうして店長ブログを通して自分の想いやこだわりを発信でき、たくさんの人に伝え続けられるのはインターネットがあればこそ。製造者から直接お客様にお届けできる「直販」以外に、すばらしいことはないような気がします。だって直接ご意見も頂けて、どんどん改善していけますから。大手通販で同じ商品を買っていだだくよりも、より強くお客様と繋がれます。
『インターネットの普及で、時代は「どこで買うか」ではなく「誰から買うのか」に移行し始めている』と誰かが言っていたのを思い出しました。近い将来、流通のほとんどが「どこへ売るのか」ではなく「誰に売るのか」の時代になるかもしれませんね。