南三陸の今を伝える、南三陸ガイドブック。
山内鮮魚店店長の山内です。
先日、南三陸町在住の写真家、佐藤信一氏の写真集『南三陸から2012.3.11〜2013.3.11』が発売されました。
震災の過酷さ、直後半年の混乱、その中で強く生きる人々の懸命な生活を伝える第1弾「南三陸から2011.3.11〜2011.9.11」。
佐藤氏の言葉と共に、震災後復興へ向かう人々を切り取った第2弾「南三陸から2011.9.11〜2012.3.11」。
そして南三陸から〜シリーズの3冊目として発行されたこの写真集は、今までの写真集とは違い、南三陸の今を伝える四季折々のガイドブック形式になっており、佐藤氏と制作元であるアサツーディケイ(ADK)の方々の南三陸に対する想いが伝わってくる内容となっています。
佐藤氏は震災前から何代も続く地元写真館の経営者。
私店長も幾度となく家族写真を撮影して頂きました。
震災直後、避難所のひとつだった志津川小学校で懸命に働く彼の姿を今でもはっきり思い出します。
私店長も佐藤氏の写真で南三陸の今を知って欲しい!
その想いで震災後、東京の写真家と共に「佐藤信一写真展実行委員会」を設立し、現在も継続し全国を巡回する写真展のお手伝いをさせて頂いています。
写真右は2011年5月25日。
講談社にて行われた「第43回 講談社出版文化賞」の会場にて。佐藤氏が受賞したのは「写真賞」。
当日、選考委員の一人である篠山紀信氏も祝賀会に駆けつけ、写真集が伝える様々な想いの強さを実感した日でした。
震災当時の事を振り返ると、今でもまだ鮮明に記憶が蘇ってきます。
実体験した我々だからこその記憶。しかしながら、それを言葉で伝える事は難しい。
佐藤氏の写真集には、直筆の素朴なメッセージと共に、震災当日からの記録が刻々と綴られています。
記憶はやがて薄らいで行く。
時々、何もなくなった街を眺め、昔の町並みを思い出せないでいる自分に気づきます。
それでも前へ前へ、我々は笑顔絶やさず、海と共に生きるしかない。
リアス式に囲まれた海岸線、起伏に富んだ静かで美しい町並み、瓦礫に咲き誇る花、明るく生きる南三陸の笑顔。
震災から二年、再生へ向かう南三陸の、息を飲むほどの美しさと懸命さを感じて欲しい、そんな写真集です。
(写真上)写真集「南三陸から〜vol.3」南三陸さんさん商店街にある佐藤氏の店舗にて。(写真中)2011年5月25日、講談社出版文化賞祝賀会での一枚。(写真下)2011.3.17。被災した当店工場屋上から。