山内鮮魚店店長のヤマウチです。
土曜の夜、気仙沼にて経営者が集まる勉強会に参加して来ました。
名前はお互い知っていたのに初対面という懇親会では皆で意気投合し、お陰さまで楽しい夜を過ごさせて頂きました(^^)
翌日、気仙沼の若者達で作る「気楽会(きらくかい)」の観光案内があるとお聞きし、同じ被災地として同世代がどのように復興へ取り組んでいるのかを見たい!と思い観光案内ツアーに特別に参加させて頂きました♪(気楽会についてはこちら)
気楽会は気仙沼の昭和50年代の方々で作る「気仙沼を元気にしていこう!」という会で、2006年からスタートしたコミュニティ。
震災後はさらに積極的に被災地としての気仙沼を外に発信している精力的な会です。
地元の商店主達や水産業、サラリーマンなど、業種も様々。「気仙沼愛」に満ちた人達の集まりですね。
私店長も気仙沼高校ラグビー部出身という事で、気仙沼の人達のバイタリティの凄さは昔から知っていましたが、個性的なキャラクターや才能ある若者達のこういった活動は、今後の被災地を牽引する大きな力だと感じました。
「気楽会の観光案内課」のスタートは11時。その前の準備段階からおじゃまさせて頂きました。
中心人物が集まるこの赴きある建物は「齊藤茶舗」。
気仙沼で最も古い店舗で、被災した商店街の中にあります。
3.11の津波では浸水したということですが、建物は何とか残ったようです。
ここで、参加者に配るバッジや印刷物をみなさんが朝からあくせく準備しておりました。
11時近く、高台にある気仙沼市民会館に続々と集まる参加者達。
今回は妊娠9ヶ月の妊婦さんも参加。参加者は全国様々な場所から集まってきます。
こちらが気楽会の中心メンバー達。一番右がコヤマ菓子店の小山君。
前日の懇親会で意気投合、二人だけで三次会まで突入し仲良しになりました♪
そしてこちらが宮城県庁の山田氏。
宮城県を端から端まで動き回る驚異的なフットワークを持つ人物。
仙台在住ですが気仙沼をこよなく愛する事でも有名です。
気楽会を立ち上げたメンバーの一人で宮城県の食に携わる人なら知らない人はいないのではないでしょうか♪
気楽会の観光案内課ツアーは、まず一人ずつの「自己紹介」から始まります。
気楽会の観光案内課ツアーは、まず一人ずつの「自己紹介」から始まります。
小山くんを先頭に、スローペースで観光案内がスタート。避難した高台から漁港に向かって歩き出します。
途中途中、高台から気仙沼の被災した町並みを見る事ができます。
そしてポイントポイントで、小山くんや齊藤茶舗の齊藤君から説明が入ります。
歩いているうちに、それぞれ初対面の参加者同士で会話が弾んで行きます。自然となごやかな雰囲気になりますね♪
途中、仕事を抜け出して駆けつける気楽会メンバーもいたりして、観光案内ツアーにかけるそれぞれの想いも伝わってきます。
ここで小山君が、被災した菓子店跡地をバックに、震災前の写真付きで案内してくれます。
中心メンバーも次々と自分たちの思いを伝えます。
気仙沼は津波もそうですが、何日間にも及んだ「火災」が人々の尊い命を奪いました。
彼もまた津波と火災の恐怖から何とか逃げ延びた一人。
坂を下った所にある河北新報社。
写真では分かりづらいかもしれませんが、1階の天井付近まで津波が来たという痕跡が今も残っています。
立っているのは、コヤマ菓子店跡地。地盤沈下が70cm以上、地盤自体も4メートル以上もズレているそうです。
所どころに見られるこういった浸水地域。
震災数ヶ月後に来た時にはこの一帯すべてが海水に浸かっていました。
コヤマ菓子店があった南気仙沼地区から、漁港方面へ向う途中。
こういう風にとにかく写真を撮ってもらって伝えて頂く事も非常に重要です。
そして10分ほどで気仙沼漁港付近に到着。津波の高さを示す目印が建物に表示されています。
一同いざ、休日の気仙沼漁港へ。
ここで待ち構えているのは磯屋水産の安藤社長。
こうして様々なポイントで主要人物が自ら気仙沼の現状を話してくれるのが気楽会の観光案内課の特徴です。
気仙沼の今後に対する深刻な状況を、隈なく説明してくれます。
特に防潮堤の問題は、三陸沿岸の問題そのものでもあります。
今が旬のカツオについても、熱く語ってくれました。
今年のカツオは例年よりもかなり質がいいですね。
梅雨明け間近の気仙沼、この日は天候にも恵まれ潮風を浴びながら暑くもなく非常に歩きやすい気温。
つづいて港伝いに歩いて向かったのは、藤田製函店。発砲スチロールを販売している会社です。
日本一のカツオ水揚げ量を誇る気仙沼港では、こういった箱屋さんも地元を支えるひとつのキーマンになります。
こちらで案内してくれたのが藤田製函店の息子さん。膨大な数の発砲スチロールが並ぶ倉庫内も案内してくれました。
こういったレアな体験も、参加者の方々には嬉しい企画ですよね。
続いて向かったのは5分程歩いた所にある、岡本製氷さん。いわゆる「氷屋さん」です。
こちらも息子さんが氷屋の仕事を分かりやすく説明してくれます。
カツオの時期は朝3時から起きて氷を準備し、市場へ向かうそうです。
氷も鮮魚には欠かせない物。市場が終わるまで夜もひたすら氷と格闘する毎日だそう。
そして先ほどの箱屋さんと氷屋さんのツーショット。
先輩後輩の仲のようです。箱屋が届けた箱に穫れたてのカツオが入り、氷屋が氷を敷き詰めて全国へ出荷される。
その数を聞いて驚愕しました。
ちょくちょく楽しいイベントが入るのもこのツアーの良い所♪
先ほどの箱屋さんで購入した発泡スチロールにできたての氷を入れてもらいます。
これは後ほどかき氷になる模様♪
そしてランチタイム。昼食は気仙沼プラザホテルで。
ランチの後は、ホテルの支配人さんが特別に屋上に案内してくれ、気仙沼を一望しながら当時の混乱を語ってくれました。
こうして気楽会メンバーが震災前の風景と重ねて見せてくれます。
ほとんどの建物がなくなっている事がよくわかります。
写真右中央に見えるのが、現在「かさ上げ」を行っている地区。
南三陸でももうすぐ本格的なかさ上げが始まる予定です。
写真は以前、巨大な船が打ち上げられていた場所です。
こちらは気仙沼港内湾の最終地点。大島行きのフェリー乗り場があります。
この湾を囲むように何メートルもの防潮堤が建設される予定です。
僕はここですぐに戻らないといけなくなったため途中で抜けざるを得ませんでしたが、この後も気楽会の観光案内は続きます。
最後は齊藤茶舗でお茶を飲んで記念撮影をして終了。
こうした取り組みは、気仙沼の被災状況と復興の遅さを痛感できる良い機会でした。
自分の足で歩くこと。車では決して味わえない様々な被災地のディティールが浮き彫りになります。
月に一度のこの「気楽会の観光案内課」。 未だ未体験の方は、ぜひ地元の有志達と気仙沼を歩き、自分の体で被災地を感じて頂きたい。