山内鮮魚店店長の山内です。先日の7月3日、仙台市国分町にある「東京エレクトロンホール宮城」にて、全国一の会員数をもつネットショップ勉強会「OSMC(オンラインショップマスターズクラブ)」と、私が会長を務める東北のネットショップ勉強会「みやぎEC」が共催する東北復興支援イベント「ECが創造する未来 in 仙台」が開催されました。
当店をご利用いただくお客様にとって、我々のこういった取り組みは実質関係のないものですが、私を含め東北の未来を担う若き経営者達が、文字通り「ひとつ」になった証としてブログに綴っておきたいと思い机に向かっています。
ECとはイーコマース(電子商取引)、ネットショップの事です。インターネットが普及し15年以上、通信販売のあり方も大きく変わりました。当店も2005年にインターネット販売を初めてから、小さな港町の鮮魚店から、全国へ南三陸の海の幸をお届けし、たくさんのお客様に楽しんで頂く機会を頂きました。そしてブログ、Facebookを代表するSNSの普及によって、もはやインターネット販売は「顔の見えない商売」から「お客様と繋がる商売」へと変わっているように感じるのは私だけでしょうか。
ネットショップ設立当初の辛い日々を今でも思い出します。南三陸の海の幸をたくさんのお客様に知っていただくにはどうしたらいいのか。当初パソコンも触ったことのない私が、ネットショップを運営していくには様々な困難がありました。朝6時から会社の机に向かい、日が暮れ、夜が空けるまでPCと向き合う日々。それが丸三年も続きました。南三陸という土地柄、周りに教えてくれる人もおらず、本を読みあさり格闘する日々。そうして迎えた4年目、少しずつお客様からご注文を頂くようになったある日、気まぐれで応募していた「日本オンラインショッピング大賞」事務局から受賞の知らせを頂きました。審査員の方から「一番心に残ったサイト」というお言葉を頂き、ようやく少しだけ自分のやってきた事が報われた気持ちになったのを覚えています。
そんな矢先、インターネット販売で有名な高知県のある方から、突然のメールが私の元に届きました。「高知で講演してもらえんやろうか」講演などした事もない私でしたが、そこに何かがあるような気がし、お引き受けしました。そして訪れた高知の地。総勢100名の方々の前で話している自分、見つめる100名の真剣な眼差し。懇親会では食事もままならいほどノート片手に歩み寄ってくる高知の方々。何よりも衝撃を受けたのは、こんなにもインターネットで死にものぐるいで商品を販売している方々がいるという事実でした。
「よし、こんな勉強会を宮城県でやろう!」高知から帰ってすぐに県庁の友人に相談し、賛同する方々を集め、始めようとしていた矢先の東日本再震災。くしくも第一回開催の6日前の出来事でした。それから2年を経て2013年、干物店、餃子製造、酒蔵など復興し始めた数少ない異業種が集まり、ようやく「みやぎEC」の歴史が始まります。
高知をはじめとして、福岡、東京、大阪、意欲的に全国の勉強会に参加していた私の繋がりだけで、みやぎECには開催以来、たくさんの有名講師の方々が講演に来てくれるようになりました。
そして一年が経ち、面識のあった福岡の「久原本家 椒房庵 通信販売部部長 水竹氏」から一通のメールが届きます。「一週間会社を休んで東北にボランティアに行こうと思っていたんですが、せっかく行くなら山内さんの会と協力し東北の方々のためにお役に立ちたい」。通販王国福岡のトップを走る会社からの協力、本当に驚きました。
そこから200人を集めた一大イベントが幕を明けます。共通の知人であったOSMC会長の森本氏と連絡をとりました。森本氏には講師の先生を探して頂く。私は会場を抑え、当日の準備を整える。
そうしてネットショップを運営する全国のトップランナー講師が決定。それでも人は集まるのだろうか、ネットショップに興味のある方々ははたして東北に何人いるのだろうか。定員200名、募集を初めてから70人はすぐに集まりました。でもそれらはほとんどが東北以外で活躍する全国のトップランナー達。やっぱり東北はだめなのだろうか。東北はこのまま「支援」して頂くだけで終わるのだろうか。そう思っていた矢先、およそ20人程の小さな会「みやぎEC」会員の皆が動き出します。マスコミへのプレスリリース、知人への告知や紹介。「伝えベタ」な東北勢が、ありったけの力を振り絞って興味のある方々に告知したことで、定員を上回る参加申込が殺到。東北イーコマースの歴史的1ページが幕を明けます。
ネットショップとの出会いによって、どん底から這い上がった東京練馬の老舗電気店「てるくにでんき」の堂園社長。その壮絶な歴史。
主婦から立ち上げたネットショップで苦難を乗り越え続けた、福岡の「防音専門ピアリビング」室水社長。
そして東北、全国から集まった200名のネットショップ運営者達。
東北に足りないもの、我々東北人がこれからすべきこと。そして我々はもう被災者ではなく、自らの足で歩いていかねばならないこと。少しですが、私もお話しさせて頂きました。
何よりも素晴らしかったのは、200名の受付業務、会場内での誘導、100人以上が自由に交流出来る懇親会場の手配、100名以上を10分で講演会場から懇親会場までの500メートルの道のりを迷う事なく誘導すること、これらをたった20名で成し遂げたみやぎECの皆の頑張りです。
それぞれ業種は違えど、東北の次の世代を担う若き経営者達。全国に比べると「引っ込み思案、アピールべた、生真面目」そんな印象がある東北人の本当の本質が、ひとつの物事に皆で向き合う事で発揮され、歴史的なイベントを成功に導いたと思っています。
我々東北の目的は、自分たちの地元にしっかりと足を付け、その良さを、その特産物を、全国のお客様に知って頂き、地元に還元することです。石巻、気仙沼、仙台、亘理、陸前高田、一ノ関、そして南三陸。全国から遠く東北まで足を運んで下さるたくさんの方々、東北を気にかけてくれるたくさんの方々に「東北は元気ですよ!東北は見事に立ち直りましたよ!」と胸を張って言えるようになることです。
東北は本当にすばらしい。東北の豊かさを、これからもしっかりと伝えて行けるよう努力していきたいと思っています。